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廃棄物処理大手タケエイ、横須賀に公園や街路樹の剪定樹木材等を燃料とした「都市型木質バイオマス発電所」竣工。燃料から発電、売電まで地域循環型に。11月1日から稼働(RIEF)

2019-10-08 14:04:36

takeei1キャプチャ

 

 廃棄物処理大手のタケエイ(東京)は、都市内の公園や街路樹等の剪定樹木材等を燃料とする「都市型木質バイオマス発電所」を横須賀市に完成させた。発電能力は6950kWで一般家庭の約1万5000世帯分の年間消費電力量をまかなうことができる。11月1日に本格運転を始める。

 

 (写真は、横須賀市に完成した木質バイオマス発電所)

 

 タケエイは廃棄物処理のほか、バイオマス発電事業にも進出しており、今回の発電所は4カ所目。タケエイが66.7%出資する子会社の「横須賀バイオマスエナジー」が発電所を建設、運営する。

 

竣工式に出席した㊧からタケエイ阿部光男社長、横須賀市の上地克明市長、須賀バイオマスエナジーの安倍誠社長
竣工式に出席した㊧からタケエイ阿部光男社長、横須賀市の上地克明市長、横須賀バイオマスエナジーの安倍誠社長

 

 燃料の木質バイオマスは、神奈川県を中心に、首都圏近郊の自治体・造園業・建設業等から排出される伐採木や、公園や街路樹からの剪定枝、森林間伐材、建設現場などから出る木くずなどが中心だ。

 

 都市部では個人の家の剪定材を持ち込む場所も限られており、そうした樹木材も受け入れ、同発電所で木質チップに加工する。街路樹等の剪定作業には季節性があるので、燃料が少ない時には、助燃材として、建設・解体現場からの廃棄物に含まれる廃プラスチック類から製造し た固形燃料「RPF」を使うが、燃料全体の約5%の見通し。

 

 石炭等の化石燃料はもちろんだが、輸入パーム油や、椰子殻(PKS)等は一切使用しない。その結果、年間2.3万㌧(発電量ベース)のCO2削減効果が見込まれるという。

 

 発電した電気は、タケエイ100%子会社の小売電気事業者「横須賀アーバン ウッドパワー」が固定価格買取制度(FIT)を通じて、地元の公共施設や企業、生活協同組合施設などに売電する計画。同社では、燃料の調達から電気の使用までの地産地消を目指す、としている。

 

 タケエイの阿部光男社長は「当社発祥の神奈川県での発電事業で地元に貢献したい」と語っている。

 

ドイツ・ドップシュタット社製の「篩(ふるい)機」
ドイツ・ドップシュタット社製の「篩(ふる)い機」

 

 大型のバイオマス発電の中には、東南アジア等から椰子殻(PKS)やパーム油等を輸入して発電する事例が増えている。こうした場合、熱帯雨林等を伐採するなどの影響を伴うほか、運送途中のCO2排出も起きる。ライフサイクルで見た実際のCO2排出量は大きくなるリスクが指摘されている。燃料確保の安定性も課題だ。http://rief-jp.org/ct5/94711

 

 今回のタケエイの場合、地域での剪定樹木や間伐材などの廃棄物処理と発電を組み合わせた循環型発電であり、そうした懸念はない。また地域での処理木材の収集・運送や発電事業に伴う雇用創出効果も期待される。

 

https://ssl4.eir-parts.net/doc/2151/tdnet/1755765/00.pdf