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韓国第二の自動車メーカー起亜(Kia)。太平洋の漂流ゴミからの再生廃プラを電気自動車(EV)の素材や部材に転用。非営利の回収団体から55㌧分を受け取り(RIEF)

2023-09-05 23:47:32

Kia001キャプチャ

 

 韓国第二の自動車メーカーの起亜(Kia)は、太平洋の漂流ゴミの回収活動をしているオランダの非営利団体「Ocean Cleanup  」がこのほど、回収した廃プラスチック素材55㌧を、将来の電気自動車(EV)モデルに使う再生素材として採用すると発表した。KiaはEVをCO2削減だけでなくサステナブル・モビリティ・ソリューションの提供車と位置付け、これまでもペットボトルからの再生プラ等も活用している。同社のフラグシップEVのEV9の場合、使用する再生素材やバイオ素材等は合計34kgになるという。

 

 今回、Kiaが使用を表明した海洋廃プラ55㌧は、Ocean Cleanupが北太平洋の廃プラ滞留区域(GPGP)での回収作業で集め、このほどカナダのバンクーバー・ビクトリアに陸揚げした総量だ。Ocean Cleanupは現在、System 002 (愛称、Jenny)と呼ぶ回収器具を使って、GPGPに浮遊する廃プラを回収しているが、今後、同システムをグレードアップしたSystem003に切り替え、2040年までに同海域の漂流廃プラの90%を回収する計画を立てている。

 

 Kiaは昨年4月、Ocean Cleanupとの間で7年間のグローバルパートナーシップ契約を結び、海洋汚染問題解決のサポーターとして取り組みを進めている。単に資金面での支援だけでなく、回収廃プラの再資源化を重視している。同社はすでに再生PETを自動車社内の敷物や座席シート等に使ったり、皮革の代わりにバイオベースの代替レザーや、ベンジン等の石油由来の芳香族炭化水素フリー等を実施し、真のエコカーを目指している。

 

Ocean Cleanupの海洋ゴミ回収活動の模様
Ocean Cleanupの海洋ゴミ回収活動の模様

 

 同社が力を入れている7人乗りのEV9の場合も、 海洋から回収された廃漁具を再生し、車内の床カーペットに採用しているほか、リサイクルプラスチックやバイオ素材、エコフレンドリー素材等を合わせると、全体で約34kgに達するとしている。同社は今回回収した55㌧の廃プラについても今後、EVの素材として再生利用していく方針だ。

 

 Ocean Cleanupは今回の「陸揚げ」に続いて、回収器具をバージョンアップしたSystem003を導入し、回収活動を拡大するとしている。Sytem003はサイズで「002」の約3倍あり、効率性も高めている。稼働時間も長くとれるなどの改良の結果、「002」より10倍の回収効率が見込まれるとしている。これまで、回収時に課題となっていたウミガメや魚類等の海洋生物を巻き込むリスク対応も盛り込んでいる。https://rief-jp.org/ct12/127292?ctid=

 

海洋表面の漂流ゴミを自動的に回収する
海洋表面の漂流ゴミを自動的に回収する

 

 KiaはOcean CleanupのグローバルパートナーとしてSystem003による回収事業もサポートする。同システムおよび作業に従事するボランティアスタッフ等の作業着等には、Kiaのロゴとカンパニーカラーのブルーが使用される。

 

 Kiaのシニアバイスプレジデントで、グローバルブランド&CX部門担当のCharles Ryu氏は「Ocean Cleanupによってリサイクルのために陸揚げされた過去最大量の廃プラは、いかに人間が開発した技術がサステナブルなソリューションとして活用できるかを示す明白な証拠だ。KiaのOcean Cleanupとのパートナーシップは、地球へのポジティブインパクトを高める、われわれのブランドコミットメントを示すものだ」と強調している。

 

 Ocean CleanupのNisha Bakker氏は「今回のSystem002による記録的な廃プラ回収を最後に、002の時代は終わり、新たにSystem003を立ち上げる。われわれはステップバイステップで前進していく。さらに003の次には、Systemを複数連結し、五年ごとにGPGPの50%分の海域での回収を完了できるようにしたい。こうした作業はわれわれだけではできない。多くのパートナーの参加が必要で、特にグローバルパートナーとしてのKiaの参加は、『プラスチック無しの海洋』という共有の野心を実現するうえで不可欠だ」と述べている。

 

 Ocean Cleanupは2013年に当時19歳だったオランダのデルフト工科大学の学生ボヤン・スラット(Boyan Slat)さんが、太平洋に浮かぶ廃プラスチックを、自ら開発した回収器具を使って「手作業」で回収するアイデアを提唱して始まった非営利の国際活動だ。現在は、財団をロッテルダムに設けている。作業には現在約140人の熟練スタッフが従事している。今年、初めて地域オフィスをマレーシアのクアラルンプールに開いた。https://rief-jp.org/ct12/45222

https://www.kiamedia.com/us/en/media/pressreleases/21078/kia-partner-the-ocean-cleanup-delivers-record-55-ton-ocean-plastic-haul

theoceancleanup.com