HOME11.CSR |東急不動産ホールディングス、ESG債の長期発行方針を公表。2030年度に社債残高の70%以上をESG債に。ESG債を資金調達の柱にするのは日本企業で初。10月にSLBも発行(RIEF) |

東急不動産ホールディングス、ESG債の長期発行方針を公表。2030年度に社債残高の70%以上をESG債に。ESG債を資金調達の柱にするのは日本企業で初。10月にSLBも発行(RIEF)

2021-09-03 17:20:07

tokyu003キャプチャ

 

 東急不動産ホールディングスは、発行する社債に占めるESG債比率を2030年度に70%以上とする長期発行方針を設定した。グリーンボンド等のESG債発行を資金調達の軸に据えることで、「グリーン経営」を明確にする。わが国の企業で、資金調達のESG化を打ち出したのは初めて。新方針に基づく第一弾として、10月上旬にもサステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)を発行する。

 

 東急不動産は昨年1月にグリーンボンド(100億円)、同12月にサステナビリティボンド(300億円)を発行している。これ以外にも、サステナビリティローンやポジティブインパクトファイナンスを合わせて950億円利用している。https://rief-jp.org/ct4/98411

 

 今回、こうした資金使途ごとのESG調達の枠を超え、同社の長期ビジョン「GROUP VISION 2030」に基づく新たな資金調達の枠組みとして、ESG債の長期発行に関する方針「”WE ARE GREEN”ボンドポリシー」を設定した。

 

 現在、同社の社債発行残高は約2800億円。このうちグリーンボンド等のESG債は400億円で、14%に過ぎない。しかし、同社が建設・計画中の再エネ事業やシニア向け住宅事業等のESG分野の事業は約2000億円あるという。

 

 今後、これらの資金調達をESG債で対応するとともに、企業の一般資金に充当できるSLBの発行にも取り組んでいく。資金調達をESG債主導に切り替えることで、2025年度(26年3月末)には社債調達に占めるSG債比率を50%に、2030年度(31年3月末はには70% 以上に引き上げる計画だ。

 

 対象とするESG債は、資金使途を明確にしたグリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドに加えて、企業の一般的な資金使途に充当できるサステナビ リティ・リンク・ボンド(SLB)を含める。SLBは今回、新たに発行する。

 

 同社では、「ESG債を長期的に継続発行する方針をあらかじめ投資家に示すことで、グループのESGへの取組みを総合的かつ連続的に理解してもらうとともに、投資家に安定的・計画的にESG債へ投資する機会を提供していきたい」としている。債券投資家との双方向のコミュニケーションの機会を増やし、企業側から投資家へのエンゲージメントも強化する方針。

 

SLBの資金使途先の一つとなる東京・渋谷ソラスタ事業
SLBの資金使途先の一つとなる東京・渋谷ソラスタ・プロジェクト

 

 新方針の第一弾となるSLBは、発行額100億円、期間10年。サステナビリティを評価する重要業績指標(KPI)は温室効果ガス(GHG)排出量のScope1、2と同3(カテゴリー1・2・11)の自社排出量と削減貢献量の比較とする。

 

 サステナビリティ・パフォーマンス目標(SPT)は、①2030年度にグループ全体のHG排出量を19年度比で46.2%削減(SPT1)②2025年度に自社排出量を削減貢献量(再エネ発電+森林保全クレジット)より低くする(SPT2)ーーの2つを設定した。それぞれの目標未達の場合、発行額に対して0.25%の金額を環境貢献団体等に寄付するとしている。

 

 主幹事は三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券、大和証券、みずほ証券、野村證券の4機関。セカンドオピニオンは日本格付研究所(JCR)が付与した。

 

 同ホールディングスは傘下に、東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブル、東急ハンズなどの事業会社を抱える。

 

https://www.tokyu-fudosan-hd.co.jp/news/pdf/2632.pdf

https://www.jcr.co.jp/download/7e09930884f033cac0a9709e95be70fec9893aa899a3769ca0/21d0546.pdf