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グローバルな環境NGOら、プロジェクトファイナンスの環境・社会配慮基準の「第4次エクエーター原則(EP4)」について、「気候変動対策や先住民権利擁護で極めて不十分と批判(RIEF)

2019-11-25 09:00:41

DAPL2111キャプチャ

   環境NGOのBankTrackなどの環境団体は、金融機関の国際プロジェクトファイナンスの自主的な環境・社会基準である「エクエーター(赤道)原則」の第4回改定版が公表されたことについて、「気候変動対策や先住民の権利擁護への対応が不十分」と失望感を表した。

 BankTrackなどは、世界58カ国321の環境・市民団体とともに、基準改定作業を推進してきた「Equator Principles Association(EPA)」に対して、従来の「Business As Usual(現状維持)」の対策の継続に留まっていると批判している。http://rief-jp.org/ct7/96080

 エクエーター原則の第4次改定作業は2013年から進められてきた。2017年に公表された改定案は、主な改定ポイントして4点を指摘していた。①先進国(Designated countries)と途上国(Non-designated countries)での対象プロジェクトの扱い②金融商品への適用範囲の拡大③先住民族コミュニティの権利擁護をはじめとする人権対応 ④気候変動対応。http://rief-jp.org/ct6/96227

 環境NGOらは、このうち特に、①と③の両方に影響した米国でのノースダコタパイプライン(DAPL)問題の原因を解消するため、先進国と途上国の区分の撤廃を求めて、そのうえで先住民族の権利擁護の確立を目指した。

 この点で、EP4は先進国でのプロジェクトファイナンスの環境・社会影響のチェックの強化を盛り込んだものの、区分の撤廃はせず、プロジェクト事業者が、先進国案件について、各国の法規制への適応御状況に加えて、国際金融公社(IFC)の環境・社会パフォーマンス基準への適応をチェックするという改定に留めた。http://rief-jp.org/ct6/96227

 環境NGOのWomen’s Earth and Climate Action Network (WECAN)の代表Osprey Orielle Lake氏は「DAPLへのエクエーターバンクの融資が、EP4への改定のトリガーだった。それから2年後の米国の環境保護策は、他のDesignated countryのオーストラリアなどと同様に、さらに骨抜きにされている。これらの国々では、多くの化石燃料関連事業が推進されている。エクエーター銀行はグローバルに一律の基準を引くべきなのに、そうすることに失敗した」と批判している。

 銀行の環境行動をウォッチするオランダのBankTrackの代表、Johan Frijns氏は「EP4はパリ協定の成果を盛り込むべきなのに、できあがった改定版は2013年のEP3からほとんど変わっていない。改定に関わったすべての人にとって、壮大な時間と資源の無駄だった。EPAはわれわれ現代人が直面している多くの課題に、銀行部門が率先して対応するチャンスを逸した」と指摘している。

 エクエーター原則には日本の3メガバンクや、三井住友信託銀行、日本生命、農林中金等も署名している。

https://www.banktrack.org/article/with_new_equator_principles_

banks_fail_to_act_on_climate_or_indigenous_rights