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「ネットゼロ資産運用イニシアチブ(NZAM)」の新イニシアティブへの運用機関の署名を、年金・保険等の「NZAOA」署名42機関が促す共同声明。「反ESG」の圧力に対抗の形に(RIEF)

 

 国連主導で設立された資産運用機関による「ネットゼロ資産運用イニシアチブ(NZAM)」は、現在、目標に掲げる「2050年のネットゼロ達成」のうち、年限(2050年)を削除する新たな「ネットゼロ・イニシアチブ」に今春までに移行することを目指している。しかし米系運用会社を中心に移行に懸念を示す向きが少なくないとみられることから、資産運用を委ねる主要な年金、保険会社等の資産保有機関が連名で、「気候関連リスクと移行機会への対応は資産運用会社の受託者責任に基づく」等として、新イニシアティブへの参加を求める共同声明を公表した。これらの資産保有機関は、「ネットゼロ資産保有者連合(NZAOA)」に署名するほぼ半数の機関で、暗黙裡に自らの資産運用の受託の条件に新イニシアティブへの署名を付記する形だ。同共同声明には、NZAOA署名の日本生命、第一生命等の日本勢は加わっていない。

 

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イタリアの送電会社「テルナ(Terna)」発行の永久債ハイブリッド型EuGB準拠のグリーンボンド。発行額に対して約9倍の投資需要を集め、欧州で史上最低の「劣後プレミアム」発生(RIEF)

写真は、イタリア全土をカバーするテルナの送電網事業=同社サイトから引用)

 

 イタリア全域の送電網を管理する送電事業者テルナ(Terna)がこのほど発行した同社として初のハイブリッド型「欧州グリーンボンド(EuGB)」は、発行額8億5000万ユーロ(約1550億円)に対して、約9倍の70億ユーロ超の需要が集中した。市場関係者は「欧州のハイブリッド社債発行において、史上最低の劣後プレミアム」を記録したとしている。同社は半年前にもEuGB債を発行している。欧州市場を含め、グローバル市場でのグリーンボンド発行は低調だが、法定基準に基づくEuGBの発行は、優良グリーンボンドの「証(あかし)」として投資家の人気を集める格好となっている。

 

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「国際公会計基準審議会(IPSASB)」。政府・公共部門向けの気候情報報告基準を公表。公的部門自体の排出量と、政策プログラムの排出量の両方をカバー。日本政府は対応できず(?)(RIEF)

 

  政府や公共セクター向けの気候関連情報開示基準を開発してきた「国際公会計基準審議会(IPSASB)」は、同分野を対象とした初の気候変動関連開示基準を公表した。民間企業の気候情報開示基準は国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が公表しているが、同基準は国や公共セクターのESG債発行等に伴う投資や、公的年金の投資等の開示は対象としていない。このため、世界銀行がIPSASBに対して、公共部門の情報開示基準の開発を依頼していた。公表された基準は、TCFDやISSBの気候情報開示基準(S2)等のフレームワークを踏まえて、国・公共セクター等の気候情報開示についても、「ガバナンス」「戦略」「リスクの管理」「指標と目標」の4分野ごとに、情報開示概要を示している。

 

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国連主導の「ネットゼロ金融イニシアティブ」で明暗。証取やデータプロバイダー等の「NZPSA」は解体、分野ごとの個別活動に移管。資産運用機関の「NZAM」は今春に再開へ(RIEF)

 

  国連主導の「ネットゼロ金融イニシアティブ」のうち、証券取引所やESG関連の調査・データプロバイダー等が参加する「ネット・ゼロ金融サービスプロバイダー連合(NZFSPA)」は、NZFSPA全体でのイニシアティブは停止し、個々のグループごとの活動に移管すると発表した。一方、資産運用機関で組織する「ネットゼロ・アセットマネージャーズ・イニシアティブ(NZAM)」は現在、休止中だが、体制を整えて、今春に再開する方針だ。トランプ米政権の反ESG「圧力」の影響で、すでに国連イニシアティブのうち保険会社と銀行によるイニシアティブが休止に追い込まれている。

 

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サステナリティクスの創業者で元CEOのジャンティ氏、議決権行使助言会社のグラス・ルイス入りし、取締役に就任。SPOビジネスを超えた新たな事業分野の開拓支援へ(RIEF)

 

  グリーンボンド等のESG債のセカンドオピニオン業務でリーダー的存在だったSustainalytics(サステナリティクス)が、その基幹ビジネスのSPO業務からの撤退を宣言し、市場を驚かせた。もう一つの驚きが、同社の創設者であるマイケル・ジャンツィ(Michael Jantzi)氏の動きだ。同氏は、すでに5年前に同社CEOの座を離れた後、ESGビジネスでの経験を買われて、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の理事会創設メンバーを務めるなどの活躍をしてきた。その同氏が新たにコーポレートガバナンス情報のプロバイダーで、議決権行使助言ビジネスを展開するグラス・ルイス(Glass Lewis)の取締役に就任したことがわかった。

 

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香港の金融当局の香港金融管理局(HKMA)。移行、適応の各事業を含む「香港タクソノミー(フェーズ2A)」を公表。対象産業は6産業。将来は中国の製造業の脱炭素化支援も視野に(RIEF)

 

  香港金融管理局(HKMA)は、香港持続可能金融タクソノミー(フェーズ2A)(香港タクソノミー)を公表した。同機関は2024年5月にフェーズ1として、エネルギー、運輸など4産業セクターのタクソノミーを分類しており、今回は製造業、情報通信技術(ICT)の2セクターを追加、さらに緩和事業には移行事業を含めたほか、気候災害の多発に対応する適応事業を対象に加えたのが特徴だ。今後は、「より包括的で総合的な持続可能性アジェンダを支援するため、より広範なセクター、活動、移行要素、環境目標を取り込む」としており、経済面で連携を深める中国本土の製造業の脱炭素化支援も盛り込む方針を示した。

 

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昨年末に佐賀県唐津港で火災を起こしたバイオマス発電所用木質ペレットの輸入元はベトナム。火災は陸揚げ前の貨物船上とされたが、すでに陸揚げされた分からも出火との指摘も(RIEF)

写真は、貨物船から大量に荷下ろしされたバイオマス燃料の木質ペレットのヤマ=写真は関係者からの提供)

 

 昨年末に、再エネ電力大手のレノバが、佐賀県唐津港に輸入したバイオマス発電所の燃料となる木質ペレットが火災を起こした事故で、同燃料の輸入先はベトナムであることがわかった。ベトナム産のペレットは、過去に認証偽造で不純物混在による火災事故が各地のバイオマス発電所で発生した経緯がある。また、今回の火災は燃料を陸揚げする前に貨物船の船上で起きたとされているが、関係者によると、すでに荷下ろしした積み荷からも出火していたという。積み荷の木質ペレットは、輸入した日本商社が韓国に転売する予定だったとされる。

 

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インドネシアのプラボウォ大統領。昨年11月のスマトラ島周辺での豪雨による洪水・地滑り等を引き起こした森林の過伐採関与企業28社の事業許可を取り消し。パルプ大手のTPL等も(RIEF)

写真は、オンラインで開いた記者会見の模様=detikNewsから引用)

 

  インドネシアのプラボウォ(Prabowo Subianto)大統領は、昨年11月にスマトラ島周辺で発生した豪雨によって、同島の各地で洪水や地滑りなどの気候災害が相次いだことに関連して、被害多発の要因となった周辺の森林等を過剰に伐採するなどの環境破壊を引き起こしたとされる林業、農園、電力等の28社の事業許可を抹消したと発表した。この中には複合企業最大手アストラ・インターナショナル傘下の鉱業アジンコート・リソーシズ(PT. Agincourt Resources)や、パルプ大手トバ・パルプ・レスタリ(PT. Toba Pulp Lestari Tbk  :  TPL)などの有力企業も含まれている。

 

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中部電力主導の鳥取県・米子バイオマス発電所。2023年9月の爆発・火災事故の影響で復旧工事費100億円になるとして、事業継続を断念。2028年までに設備をすべて撤去(RIEF)

写真は、爆発・火災事故を起こした米子バイオマス発電所の模様=NHKニュースから引用)

 

  中部電力は、2023年に数度の火災事故を起こした鳥取県の米子バイパス発電所を撤去すると発表した。同発電所は中部電が東急不動産など5社との共同出資の形で2022年4月に稼働した。しかし、2023年5月にバイオマス燃料貯蔵設備で、同年9月には燃料受け入れ搬送設備等で、それぞれ火災・爆発事故を起こしたほか、地元ではそれ以外にも数度の火災の発生が指摘されている。その後、復旧を検討してきたが、復旧・対策工事費に約100億円が必要なほか、爆発事故に対する地元住民の反対が根強いことから、事業の継続は困難と判断したとみられる。バイオマス燃料の火災・爆発リスクは同発電所以外でも軽減されておらず、海外からの輸入燃料の品質問題も明確には解決されていない。

 

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佐賀県唐津市で昨年9月稼働したレノバの唐津バイオマス発電所用の燃料(輸入木質ペレット)の運搬で、唐津港に停泊していた貨物船で、昨年末に火災事故。船上で自然発火か(RIEF)

 (写真は、昨年9月に稼働したレノバの唐津バイオマス発電所の全景=レノバのサイトから引用)

   再エネ電力大手のレノバが、昨年末に、佐賀県唐津市で稼働させたバイオマス発電所の燃料となる輸入木質ペレットを積載して、唐津港に陸揚げのために停泊していた貨物船が、昨年12月に積み荷から火災を起こしていたことがわかった。木質ペレットが自然発火したとされる。火災は駆け付けた消防による消火活動で翌日には鎮火した。これまで国内で相次ぐバイオマス燃料による火災事故は、陸揚げ後の保管倉庫や搬送中のベルトコンベヤー等で発生した事故が知られるが、陸揚げする前の貨物船の船荷での出火の公表は初めてとみられる。冬季で外気は低いことから、ペレット燃料に不純物が混じっていた可能性もある。どこの国からの買い入れかは明らかにされていない。

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