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第11回(2025年)サステナブルファイナンス大賞の授賞式開催。大賞に初のESG債専用のプロボンド市場を設立した札幌証券取引所。全体で過去最多の17件20社・団体を表彰(RIEF)

 

 一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)主催の第11回(2025年)サステナブルファイナンス大賞の授賞式が23日、東京・内幸町の日本記者クラブ記者会見場で開かれた。国際金融情報センター理事長の玉木林太郎氏の基調講演に続いて、表彰式では、最優秀賞(大賞)に、日本で初めてグリーンボンドやトランジションボンド等のESG債専用の上場制度を導入した札幌証券取引所が選ばれた。同証取は1949年設立の歴史を踏まえながら、民間のスタートアップ企業のように新たな挑戦をしたことを評価された。そのほか、優秀賞やサステナブルボンド賞、サステナビリティ・サポート賞等の6分野で17件〈20機関・団体)を表彰した。

 

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国際金融情報センター理事長(元財務官)の玉木林太郎氏。気候変動対策は、国際的な経済システム変革の影響を受けた対応の必要性強調。一部メディアの「現実的な対応」論には危惧示す(RIEF)

 

   元財務官で、公益財団法人国際金融情報センター理事長の玉木林太郎氏は、世界の気候変動政策が国際的な経済システム変革の影響を受けて、新たな対応を求められているとの見方を示した。トランプ米大統領の独自の国際政策の展開で世界が振り回されているが、玉木氏は「米国一国が突然、変わったからシステム変革が起きているのではない。国際社会のフレームワーク自体が大きく変わろうとしている」との認識に立ち、気候対策の作業もそうした国際社会全体の枠組みの変化の中で取り組んでいく必要があるとした。また最近の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)の成果の低迷で、「世界の気候対策がより現実的になってきた」との論調が一部のメディアで出ている点に危惧を示し、「われわれは、今現在の『現実』だけでなく、2030年、2050年等の『少し先の現実』への対応も求められている」とし、この二つの「現実」に対応しなければならないと強調した。

 

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トランプ政権。バイデン前政権が政権移行時に「駆け込み融資」をした「グリーンバンク」資金830億㌦(約13兆円)について、再エネ融資は打ち切りや、原発・天然ガス開発に切り替え(RIEF)

 

  トランプ米政権のエネルギー省(DOE)は22日、バイデン前政権時に推進した風力発電や太陽光発電プロジェクト開発のために設定された「グリーンバンク」の融資資金合計830億㌦(約13兆円)を見直し、原発、天然ガスプロジェクト、さらに地熱発電・重要鉱物などの開発事業に切り替える方針を明らかにした。見直しでは、このうち300億㌦分の融資を打ち切り、530億㌦分の資金計画を見直し、風力・太陽光事業向け融資約95億㌦を削減し、原発・天然ガス事業に切り替える。「グリーンバンク」が「原発・化石燃料バンク」に看板を掛け替えられる形だ。日本政府がメガソーラー等の太陽光発電事業への規制を強化し、原発再稼働・新設を目指す動きと符号するようにもみえる。

 

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世界経済フォーラム(WEF)。2026年のグローバルリスク報告書で、「地経学上の対立」を今年の最大リスクと評価。トランプ米政権による関税を政治手段化する手法がリスク高める(RIEF)

 

  世界経済フォーラム(WEF)が公表した2026年版の「グローバルリスク報告書」では、「地経学上の対立(Geoeconomic confrontation)」が今年の短期のグローバルリスクの中で最大リスクとして首位に浮上した。今後2年間の重要度でも、昨年に比べ一気に8ランク上昇した。名指しはしていないが、トランプ米政権が一方的な関税引き上げによる「経済の武器化政策」をとり、国際的な外交圧力と連動させて狙いを定めた国に突き付ける行動が、新たなグローバルリスクになっていることを示す形だ。

 

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米連邦下院。「ERISA法」による確定拠出年金の運用で、ESG投資を法的に制限する法案を可決。これまでの労働省規則のルール改定抗争から、反ESG法の制定へ。上院審議がカギに(RIEF)

写真は、法案可決で議会を出る提案者の共和党、リック・アレン議員=Politicoのサイトから引用)

 

 米連邦下院議会は、従業員退職所得保障法(ERISA)に基づき企業従業員の退職資金を管理する資金運用者が、環境・社会・ガバナンス(ESG)要因の評価よりも、収益最大化を優先することを法的に定める法案を賛成多数で可決した。バイデン前政権下での労働省規則では、退職資金の運用者は、ESG要因が財務的リターンに直接影響する場合、あるいは経済的価値が同じ投資の場合等にESG要因を考慮することを認めるとしている。共和党法案はトランプ政権の「反ESG」政策を法的に確保するものだ。ただ、現時点では上院でも成立するかどうかは不透明とされる。

 

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清水建設。洋上風力発電所建設用の専用作業船(SEP)を資金使途とする同社初のブルーボンド200億円発行。投資家の買い意欲強く、発行額は当初想定の2倍に(RIEF)

写真は、清水建設のSEP船「BLUE WIND」=同社サイトから)

 

  清水建設はこのほど、洋上風力発電所建設を進める専用作業船(SEP船)の建設を資金使途とする同社初のブルーボンドを発行した。発行額は当初100億円と見込んでいたが、投資家の買い需要が高いことから倍の200億円に引き上げた。同社はすでに3年前にSEP船を開発しており、すでに内外での洋上風力発電事業で活用している実績を持つ。今回の調達額は同船の調達資金の借り換え(リファイナンス)に充当する。これまで洋上風力発電事業関連の資金調達で日本企業がグリーンボンドを発行した例はあるが、今回の同社のブルーボンドでの資金調達は、日本のESG債市場でのサステナブルな水資源開発の資金調達について、グリーンとブルーを切り分ける事例になるとみられる。

 

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米マイクロソフト。AI活用でのデータセンター増強に伴う電力需要増による電力料金上昇や送配電網の強化等の費用増は「利用者負担ではなく、同社負担」とする「責任イニシアティブ」(RIEF)

写真は、「コミュニティファーストAIインフラ構築」を宣言する副会長兼社長のブラッド・スミス氏=マイクロソフトのサイトから引用)

 

 世界の主要国でAI活用を推進するデータセンターの増設で電力需要が増大し、地域の電力料金が上昇する等の懸念が出ているが、マイクロソフトは「責任あるデータセンター構築・運用」のイニシアティブとして、5分野から成る「コミュニティファーストAIインフラ構築」のコミットメントを打ち出した。それによると、データセンターの立地した地域での電力料金の上昇分や、電力会社の送配電網・変電所の増強費用等について、地域の利用者負担ではなく、同社が負担すると明言。地域の水道インフラの近代化にも資金を投じる等としている。同社副会長兼社長のブラッド・スミス(Brad Smith)氏は「ハイテク企業が大きな利益を上げているなか、AIのために追加の電気代を国民に負担してもらうのは不公平」と強調した。日本の産業界も見習ってもらいたい。

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日本のバイオマス発電でインドネシアの生物多様性が危機に。貴重な動植物種が生息する「生態系のホットスポットの島」の森林を皆伐し、木質ペレットとして日本向けに輸出(RIEF)

写真は、木質ペレット製造のため大手企業が皆伐したインドネシア・スラウェシ島の森林地帯の跡=「地球・人間環境フォーラム」の提供)

 

 ブラジルのアマゾン地帯と並ぶ生物多様性の宝庫として知られるインドネシアの生態系の中でも、哺乳類、鳥類、爬虫類等の貴重な種が生息するスラウェシ島の熱帯雨林が、日本のバイオマス発電用に過剰伐採され、生態系の危機に直面しているとして、同国の専門家が日本政府や業界関係者に対し、警告を発した。インドネシアから呼びかけたのは、インドネシア大学保全生物学教授で環境問題に詳しいジャトナ・スプリアトナ氏。1月13日、リモートで日本向けに講演し、記者会見も実施した。同氏によると、同島の多様な動植物種のうちでも、特に貴重なメガネザルは木に依存して生きているが、開発による森林の皆伐によって絶滅の危機に直面している、と指摘している。

 

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米ワシントン連邦地裁。内務省が建設中止を命じた米東海岸での洋上風力事業で、エクイノールの「エンパイア・ウィンド2」計画の中止命令差し止めを承認。1週間に政府命令の却下2件目(RIEF)

写真は、エクイノール子会社が作成した「エンパイア・ウィンド1」事業の完成予想図=同社サイトから引用)

 

 米ワシントン連邦裁判所は15日、ノルウェーのエクイノール(Equinor)が米東海岸のニューヨーク沖で建設中の洋上風力発電事業「エンパイア・ウィンド1」事業について、トランプ政権の内務省が工事中止命令を出していたが、事業者からの同命令差し止め請求を認める判断を示した。内務省は洋上風力発電の5事業について国家安全保障上の理由をあげて建設中止措置を命じていた。すでに12日にも、ニューイングランド沖で建設中断を命じられていた別の発電事業について、同裁判所が工事再開の判断を示している。トランプ政権の判断が二度にわたって、司法の場で覆されたことになる。

 

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国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)。自然関連の情報開示分野の事務局案公表。「自然関連移行計画」を「気候計画」に盛り込む点や、GRI、ESRS等の既存基準との整合化など論点(RIEF)

 

 国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、サステナビリティ・気候情報開示基準に次ぐサステナビリティ分野の情報開示対象として取り組んでいる自然関連の「生物多様性、生態系及び生態系サービス(BEES)」の基準設定プロジェクトについての事務局案をまとめた。BEESの基準設定ではすでにサステナビリティ・気候関連等の基準の「補完」としての開発方針を決めている。同案では自然関連のリスク・機会に関する情報への投資家ニーズに対応するため、①「自然関連移行計画」の策定②関連する開示事項をグローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI)基準や欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)等の既存基準と整合化させる③自然関連リスクと機会を特定するシナリオ草案の検討ーー等を論点としている。

 

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