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投資家が気候移行リスクを重視することで、気候リスクの高い国の債券利回りは上昇。逆に効果的な気候政策の国の債務返済コストは抑制へ。欧州中央銀行のエコノミストグループが分析(RIEF)

写真は、欧州中央銀行(ECB)の本部=ドイツ・フランクフルト)

 

  ソブリン債の投資家が気候変動の移行リスク認識を高めると債券利回りが顕著に上昇するとして、「(逆に)効果的な気候政策を実施すると債務返済コストの上昇緩和に役立つ」との分析が、欧州中央銀行(ECB)のエコノミストグループにより示された。2020~2024年の期間での対象国の一人当たりCO2排出量1㌧増加ごとのソブリン債の利回り上昇(ペナルティ)は、平均96.7ベーシスポイント(bps)の利回り上昇となり、排出量の多い国ほどこの利回りが高くなる傾向が示されたという。逆に、気候対策を確実に実施し、CO2排出量の削減が進めば、利回り上昇が緩和され、債務返済コストを抑制できることになる。日本は世界最大の政府債務残高を抱え、利払い費だけでも大きな財政負担だが、高市政権が効果的な気候対策を推進すれば財政の健全化にもつながることを示す根拠ともいえる。

 

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途上国でのカーボンクレジット創出の「調理コンロ」事業でケニアのスタートアップ企業が破綻。同国政府がクレジット認証を与えず。パリ協定の「6条クレジット」の運営に課題(RIEF)

写真は、地域に「調理コンロ」用のバイオエタノールガスを供給する「ココ社」契約のガス会社のトラック=ココ社のサイトKOKO Networks Official Website

 

  途上国のカーボンクレジット事業の一つ、「調理コンロ(Cooking stove)」普及によるクレジット創出企業の代表的スタートアップ企業が経営破綻し、波紋を広げている。破綻したのはケニアのスタートアップのココ・ネットワークス(Koko Networks)で、1月末に経営破綻に陥った。パリ協定6条に基づく同社のクレジット事業への先進国・企業からの国際的需要増大の一方で、同6条に基づくクレジット発行国政府のクレジット評価・承認の手続きが得られず、財務的に行き詰まったという。「6条クレジット」への需要増と評価・運営面のギャップが露呈した形だ。

 

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株式時価総額に占める知的財産やESG等の無形資産価値の比重。米国では時価総額の9割強、日本の「日経平均」構成企業の市場価値は5年間で20㌽の急改善。米コンサル調査(RIEF)

 

 株式相場での価格形成に、知的財産(IP)やESG等の無形資産の市場価値が影響を及ぼす比重が一段と高まっている。米国の知財コンサルタントの分析では、米国のS&P500構成企業の市場価値(時価)の約92%は無形資産の市場価値で占められ、工場や設備、不動産などの有形資産の比重はわずか8%と過去最小になった。他の市場では日本の東京証券取引所の日経平均225構成企業の無形資産の市場価値は、5年前比で20㌽増の52%と急上昇し、「最も劇的な再評価」と評価されている。ただ、東京市場での急上昇は、企業独自の無形資産価値の向上というよりも、東証によるガバナンス改革等の政策的措置への受動的対応による結果の可能性があるとして、今後の分析対象としている。

 

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第11回サステナブルファイナンス大賞インタビュー④優秀賞:野村證券。「サステナブル投資スキーム」で非可食植物からの「航空燃料(SAF)」開発の米スタートアップに投資支援(RIEF)

写真は、第11回サステナブルファイナンス大賞で優秀賞に輝いた野村ホールディングスのサステナビリティ企画部長等の佐野悠樹氏㊨と、野村證券サステナブル・イノベーション事業開発グループ ヴァイス・プレジデント濟木ゆかり氏㊧)

 

  野村證券は2025年3月に、「サステナブルな社会の共創・支援に向けた投資スキーム」を立ち上げ、その第一号案件として、持続可能な航空燃料(SAF)やバイオ燃料の原料となる非可食植物の栽培研究や植林に取り組む米国のスタートアップ企業に投資したことが評価され、第11回サステナブルファイナンス大賞の優秀賞に選ばれました。野村ホールディングス・野村證券のサステナビリティ企画部長で、サステナブル・イノベーション事業開発グループ マネジング・ディレクターの佐野悠樹氏に聞きました。

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エールフランス・KLMと仏アコーの両社発行のサステナビリティ・リンク債(SLB)が、ともに「SPTs」を達成できず。投資家に金利上乗せ支払い。SLBの構造的課題が改めて表面化(RIEF)

 ESG債で発行体企業のサステナビリティ向上のための資金調達手段であるサステナビリティ・リンク債(SLB)の大手発行体が、債券発行に伴う重要業績評価指標(KPI)の改善目標を達成できず、同債券購入投資家に対して「罰金」となる金利引き上げ措置を受けたことがわかった。KPI改善が出来なかったのは、欧州最大の航空会社であるエール・フランス-KLMと、大手ホテルチェーンの仏アコー(Accor)の2社。ともに温室効果ガス(GHG)をKPIとしてその削減を目標として設定していたが、「未達」に終わった。

 

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マイクロソフト。データセンターを含めグローバルな事業全体での使用電力を、100%再エネ電力へ切り替え完了。2030年の「カーボンネガティブ化」へ大きく前進(RIEF)

写真は、マイクロソフトのサイトから引用)

 

 マイクロソフトは、同社がグローバルに展開するデータセンター(DC)を含めたビジネス全体で使用する電力を、すべて再生可能エネルギー電力への切り替えを達成したと発表した。同社は2030年までに世界中でのビジネス活動でカーボンネガティブを実現する目標を設定しているが、同目標達成のためのマイルストーンとして2025年末までに再エネ100%達成を目指していた。これまでに調達した再エネ電力の90%以上は、主に再エネ事業者による新規プロジェクトを対象とする電力購入契約(PPA)または類似の仕組みを通じて調達したとしている。

 

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中部電力、静岡・裾野市などでの4件のバイオマス発電事業から撤退へ。「事業性の確保困難」との理由。同事業に参加していたみずほリースも撤退。再エネ専業企業が出資分引き受け(RIEF)

上図は、静岡・裾野市で建設中のバイオマス発電所の完成予想図=プロスペックAZのサイトから引用)

 

 中部電力は、静岡県裾野市、群馬県渋川市、長野県長野市および新潟県上越市で計画している4件のバイオマス発電事業から撤退すると発表した。各電力事業化のために設置した合同会社(SPC)への同社の出資持ち分は、同事業を中核的に推進する再エネ専業企業に譲渡する。中部電力は鳥取県米子市で稼働させた米子バイオマス発電事業が輸入木質ペレットからの出火・爆発事故の影響で、約1年5カ月の稼働期間で閉鎖、負債総額約49億7000万円で民事再生法を申請するなど、同事業運営に苦戦している。今回の4発電事業は「事業性の確保が困難」との判断で計画段階での撤退を決めた。同事業に出資していたみずほリースも同様に事業から撤退を表明した。

 

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1月の世界の平均気温は12.95℃。過去5番目に暖かい1月。月後半に北半球は北極圏からの寒波で気温低下。「今が夏」のオーストラリアでは各地で過去最高気温観測。EUの気象機関調査(RIEF)

上図は、1月の世界の平均気温の分布図、北極圏周辺の高温化が顕著に=C3Cより)

 

 今年1月の世界の平均気温は12.95℃で、直近の10年間(1991~2020年)の1月平均より0.51°C高く、これまでで5番目に暖かい1月となった。観測史上最も暖かかった1年前の2025年1月の気温に比べると、0.28℃低かった。1月の平均気温は比較的暖かかったが、月後半に北米、欧州、シベリアを含む北半球の広範囲で厳しい寒波が発生した。これは主に、通常より幅が広い極ジェット気流が原因で、極寒の北極空気が中緯度地域に流入したためとされる。

 

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みずほフィナンシャル・グループ。7.5億ユーロ(約1365億円)のグリーンボンド発行。対象事業カテゴリーに、水素・アンモニア関連、CCUSやDAC等の移行関連分野を新たに追加(RIEF)

 

 みずほフィナンシャルグループは、ユーロ建てのグリーンボンドを7.5億ユーロ(約1365億円)を発行した。同社がグリーンボンドの発行でグリーン資金を調達するのは、前回発行の2024年8月以来、1年半ぶり。調達資金は、同社が設定するグリーンボンド・フレームワークで定める適格グリーンカテゴリーに適合する事業とするが、今回新たに同カテゴリーに「循環型経済に適応した製品、生産技術およびプロセス」との分野を加え、鉄鋼、発電事業関連等での水素・アンモニア供給チェーンのほか、DAC(直接大気回収)及びCCUS関連事業、回収CO2の輸送等のトランジション(移行)分野を追加したのが特長だ。

 

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米国で気候変動政策が「揺らぐ」中、欧州主要企業の65%はすでに気候移行計画を策定・実施済み。84%は今後3年間で加速方針。欧州機関投資家の投資判断を反映。HSBC調査(RIEF)

 

  トランプ米政権が反気候政策にカジを切り替える中で、英、独、仏の欧州の主要企業は、引き続き脱炭素化に向け、すでに対象企業の65%は気候移行計画を策定・実施済みであり、84%は今後3年間で取り組みを加速させる方針であることが、大手金融機関の調査でわかった。国別では、気候変動対応をビジネス機会と認識する企業は、英国企業が98%と最も高く、わずかな差でフランス(97%)と続くが、ドイツ企業は91%とやや低い認識度となっている。英国企業は特に積極的で、対象企業の90%が今後3年間で現行の低炭素移行計画を加速させるとしている。

 

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